「日本文学100年の名作第7巻 公然の秘密」
自分が知っている昭和の姿がそこかしこに現れている 「日本文学100年の名作第7巻 公然の秘密」新潮文庫 「鮒」(向田邦子)勝手口に置かれていたバケツには、一匹の鮒が入っていた。体長15センチほどのそれには、確かに見...
自分が知っている昭和の姿がそこかしこに現れている 「日本文学100年の名作第7巻 公然の秘密」新潮文庫 「鮒」(向田邦子)勝手口に置かれていたバケツには、一匹の鮒が入っていた。体長15センチほどのそれには、確かに見...
はじめまして、文学。~日本の文学初歩の初歩 ラノベから読書に入るのも仕方ないと思います。でも、ラノベに浸っている子どもはいつか本から離れ、刺激のあるメディアへと移行します。ラノベは本好きを育ててはいないように思います。で...
舞台をイメージして~戯曲の世界 戯曲。シナリオです。子どもたちがなかなか自ら手を伸ばさない分野の一つです。小説とちがい、台詞とト書きだけで構成されている戯曲は舞台をイメージして読むことが必要となります。逆に言えば、戯曲を...
おかしくて切ない、切なくてあたたかい 「唐来参和」(井上ひさし)(「日本文学100年の名作第7巻」) 新潮文庫 吉原の年老いた女郎・お信のもとを同心が訪ねる。唐来参和という黄表紙作家のことを調べているのだという。その女郎...
原爆は人間の存在全体の上に落とされた 「父と暮らせば」(井上ひさし) 新潮文庫 昨日に続いて、井上ひさしの「父と暮らせば」です。私は、最初の1ページ目の「前口上」の部分だけでも、中学生にぜひ読んで欲しいと思っています。 ...
次の世代へと橋渡しをする責任 「父と暮らせば」(井上ひさし) 新潮文庫 五年ほど前、NHKBSで放送していた映画「父と暮らせば」を録画して繰り返し観ています。何度観ても素晴らしいです。文学作品の映画化は酷いものに変化する...
二つに分裂した美津江の心 「父と暮らせば」(井上ひさし) 新潮文庫 広島の原爆から三年。自分だけが生き残ったことに負い目を感じて生きている美津江は、青年・木下との恋を遠ざけようとする。そんな娘を思いやる父・竹造は、「恋の...
三つの場面で描かれる「握手」 「握手」(井上ひさし)(「ナイン」)講談社文庫 幼少の頃を過ごした天使園の恩師・ルロイ修道士に呼び出された「わたし」。上野の料理店で再会した師の握手には、かつてのような力強さがなくなっていた...
「読書論」以外の「雑談」部分が面白い! 「本の運命」(井上ひさし)文春文庫 「本の運命」。本好きの私には絶対素通りのできない本でした。古書店で見つけてすぐ購入しました。簡単に言えば「読書論」をまとめた本です。そういう本な...
不思議な立体感のある短編小説です。 「ナイン」(井上ひさし)講談社文庫 かつて住んでいたアパートの家主を訪ねた「わたし」は、主人と当時の少年野球団の思い出話をする。主人の息子が入っていたそのチームは、地区で準優勝するほど...